福澤諭吉記念文明塾とは

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ごあいさつ

福澤諭吉記念文明塾への期待
慶應義塾長 長谷山 彰

福澤諭吉記念文明塾は慶應義塾創立150年記念事業の一環として開講されました。

福澤諭吉は『文明論之概略』の中で、「文明とは人の智徳の進歩なり」と説き、封建制の世から近代市民社会への日本の変革を先導した多くの人材を育てました。

こうした福澤のいう文明は、現在日本のかかえる問題を解決しようとするときに、とりわけ重要な意味を持ちます。現代の日本を覆う課題の多くは、その解決に、正確な知識、合理的な思考、そして課題の背景にある人間と社会への暖かい関心が不可欠だからです。人間の智と徳とが従来にも増して必要となるわけです。

たとえば環境問題や教育問題は、社会問題であると同時に政治、経済、健康、科学技術の問題でもあります。その解決には、異分野にまたがる正確な知識、合理的な分析力と予測力、それにもとづいて問題を解決しようとする意思の力が必要です。これは他の問題に関しても同様です。

福澤諭吉記念文明塾は、こうした日本や世界の抱える多くの課題を解決したい、そのためにあらためて勉強したい、という思いを抱く学生や社会人に開かれています。学生、社会人が一緒になって、お互いに学び合い、またその学び合いを通じて「文明」すなわち「人の智徳の進歩」について深く考える場を提供いたします。

福澤諭吉記念文明塾においては、できるかぎり正確な知識と思考によって、自分の考えを自分の言葉で語れる力、主張の異なる他人と協力して新しい方策を生み出せる力、こうした力を持つ人間になるための素地が磨かれることを期待しております。

福澤は、明治維新を挟む激動の時代を生きた自らの世代を「恰も一身にして二生を経る」と表現しましたが、現代の日本人も同じように大変化の時代を生きています。そうした変化の時代に、新たな課題を見つけ、それを解決するために、人はその智徳をますます高めなければなりません。福澤諭吉記念文明塾は、そうした智徳を高めるために新たに開かれる、学生と社会人が学窓をともに切磋琢磨する学び合いの場です。慶應義塾生、慶應義塾の卒業生に限らず、学ぶ志がある全ての方に開かれています。

慶應義塾長 長谷山 彰

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