4期の代表者が問いかけた言葉に文明塾の始まりを痛感
私は4期の活動を通して色々な感銘や影響を受けましたが、その中でも問題意識が高く、素晴らしい能力を持った同期が発した三つの言葉を紹介したいと思います。
一つ目は、我々4期の中では既に伝説となっている話ですが、入塾式で期の代表者が「誓いの言葉」の中で問いかけた「文明塾4期生が、なぜ私たち57名でなければならないか」です。
三田の演説館でまだ隣に座っている人がどんな人なのか知らない中でその言葉を聞いたとき、文明塾の理念である「知性と人間性を磨きあうための場を提供する」ことがすでに始まっているのだと実感した瞬間でした。そして、これからの3ヶ月のプログラムに期待と責任感を強く意識することができました。
二つ目は、楽天の三木谷社長のセッションの中での、三木谷さんへの「自己主張ばかり強い人が多くなっていますが、日本人の本来の良さ、徳というものが失われているように思えます。グローバル化することは、本当に正しいことでしょうか」という素朴な問いかけです。他の参加者が、楽天の経営戦略や次世代のリーダー像といった質問をする中で、ひときわ輝いたものでした。
相手がどのような立場の人でも絶えず自分の中心軸を見失うことなく、自分の言葉で発した質問だけに一堂が息を呑んだのを今でも鮮明に覚えています。多様性が問われる現代において、この様な独自の発想や考え方を発信することが、対話に深みや厚みをもたらすことを改めて痛感しました。
提言内容には反省点も。この教訓を今後に活かしたい
三つ目は、グループ提言の最終発表が終わった後、メンバーの一人が発した「我々はもっと凄いことが出来たはず。正直残念です」と唇を噛み締めた言葉です。
グループでテーマ選定をする中、理念や概念の議論に執着し過ぎてしまい、現場を取材する機会が少なくなり提言内容が抽象的で未完成なものとなりました。学校教育をテーマに掲げ、公立学校の悲惨な実態を知ったことは大きな収穫であった反面、タイムマネージメントが十分にできず提言内容が具体性に欠けるものになりました。多様なバックグランドがありモチベーションも高いメンバーに恵まれていただけに、成果を出し切れなかったことは私も深く反省をしています。
今回の教訓は、今後、大学や会社で課題を解決していく上での糧となりましたし、是非、この教訓を今後の中で活かす、いや活かさなければならないと思います。
最後になりますが、文明塾で出会った仲間たちとは今も会って情報交換をしていますが、元早稲田大学ラグビー部監督の清宮さんがセッションの中で強調された「ノーブレス・オブリージュ」の精神を常に意識して、この素晴らしい仲間たちとともに知性と人間性を磨きあい、議論を深めながら「未来貢献」の活動を継続していきたいと思います。
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Vol. 3「強烈な化学反応の毎日。この歳になってからできた仲間たちに感謝」
第3期修了生: 高柳 博 (会社員) -
Vol. 2「同期56名全員に抱く尊敬の念。福澤文明塾を修了したが、終了はない」
第3期修了生: 金 ヒョンチョル (大学生)
※ 福澤文明塾生の所属は、原稿作成時のものです。
※ 講師のプロフィールは、プログラム開催当時のものです。