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「「物事の本質を見極める力」を求め続けた3ヶ月」 第19期修了生: 尾崎 由依(大学生)

入塾のきっかけ

「君は物事を直線的に捉えすぎるきらいがある」。大学2年生の冬、大学のゼミの先生に言われた言葉である。論文執筆をしていた当時の私は、一つの原因から一つの結果が導かれることの何がいけないのか、まるでわからなかった。先生はおそらく、「社会で起こる出来事はそんなに単純じゃない」ということを言いたかったのだろう。物事を直線的に捉えてしまう自分は、どうすればいくつもの事柄が複雑に絡み合っている社会の事象の本質を捉えることができるのか。“学生と社会人がともに対話と議論をする文明塾では、物事の本質を見極める力を身に付けられるのでは”そんな思いから、私は文明塾への入塾を決めた。

「物事の本質を見極める力」は「質問力」だった

文明塾を通じて、私は「物事の本質を見極める力」とは、「質問力」であることを知った。「物事を直線的に捉えすぎ」ていた頃の私には、「質問力」がかけていた。自分が調べたことや知っていることをつなぎあわせて結論を出すことを急いでしまい、その結果いくつもの考えるべき要素を途中で置いてきてしまっていたのである。物事に対し絶えず「なぜ?」「本当に?」と問う姿勢を持ち続けること、素朴な疑問を大切にすること、自分が知らないことをそのままにしないこと。物事の本質を知るためには、これらが重要なのだと、文明塾を通じて気づくことができた。

問題の本質が見えにくい「地域課題」解決で直面した壁

6人1組で3ヶ月間をかけて取り組むグループワークでは、「神奈川県県西地域の課題を見つけ、解決策を考える」ことが課された。私のグループは県西地域の中でも過疎化がもっとも進んでいた真鶴町をターゲットに設定した。真鶴町について一通り文献で調べ、グループで議論を重ねながら、私たちは自分たちなりに真鶴町が直面していると考える課題にたどり着いた。「自分たちはこの課題を解決する!」と意気込んで真鶴町を訪問した際、大きな壁にぶつかった。私たちが議論の末にたどり着いた「課題」は、真鶴町が抱える本当の課題ではなかったのだ。この時私は、「真鶴町が抱えている本当の課題」がいかに見極めにくいものであるかを、身を以て感じた。「本当にこれは真鶴町が直面している課題なのか?」この質問こそが、真鶴町の課題の本質を理解する上では欠かせない質問であった。

仲間がいるからこそ見極められる「物事の本質」

私たちは普段の生活の中で、つい自分の知識や経験だけで物事を判断してしまう。自分が持っている知識や常識の範囲内で考え、「相手も自分と同じ認識を持っているのだろう」と仮定し、あまり認識の共有をしないまま話をしてしまう。それに対し、文明塾での“対話と議論”、そしてグループワークは、物事について「自分の知っていることが全てではない=わからないことがたくさんある」ことを前提に議論することの重要性に気づかせてくれた。例えば、議論に出てくる一つの単語を取っても、それぞれの認識は全く異なる。その前提知識についてみんなで深く知識の共有と議論をせずに判断を下してしまっては、物事の本質には到底辿り着けない。しかしそれは、仲間とたくさん質問し、認識の溝を少しずつ埋めていけば、必ず物事の本質に近くことができることをも意味しているだろう。入塾前の私がそうであったように、一人で「本質を見極める」ことはとても難しい。けれど、文明塾の仲間たちとの対話と議論、そしてグループワークを通じて、物事の本質を見極めるための「質問力」を得られたと強く感じている。

私には、世界を舞台に仕事がしたいという思いがある。この3ヶ月間、同じような価値観を持つ日本人と議論をしていても、考え方や感じ方の違いを痛感した。世界中の多種多様な考え方を持つ人々と仕事を通じて関わる際には、より一層質問をし、話を聞き、相手を理解し、それを通じて物事の本質を理解することに努めていきたい。

募集要項

※ 福澤文明塾生の所属は、原稿作成時のものです。

※ 講師のプロフィールは、プログラム開催当時のものです。

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